ムーンランゲージ

灰色の迷宮の奥底で
コンクリートに密閉された
二人の王国

頬に触れたスティールのように硬質で
冷たい密度をもつ
二人の王国

今回は、
僕がメイルで
君がフィメル
この逞しい腕で包むから
そのやわらかさ
その声音を
僕に聞かせて

泣かないでフィメル
抱きあっても凍えるのは
僕たちの所為じゃない
最後のシガレットをつけるから
二人で分けあい
青白い虚空に赤い光点を漂わせよう

泣かないでフィメル
冷たい床に擦りつける膝を
白衣の裾で包むんだ
並んで壁に背を預け
互いに覗き込むように微笑んで
心の景色
風のこと
メロディー
匂いやその他たくさんのこと
打ち明けあうんだ

泣かないでフィメル
僕たちを閉じ込め
コンクリートの外界はどこまでも続くけど
いつしかそれが途絶えるむこう
ゆっくりと満ち欠ける
月の姿がみえるはず

耳を澄ませてごらんフィメル
少しずつ気持ちが上向いてゆく
その肌触りが解るだろう?

僕たち二人に起因しない上機嫌
──この小さな輝きを

大切に分けあって
──互いの頬を温めよう



さあ

笑ったら僕を見てフィメル

ファルセットで唄いだすあの歌を
よかったら聴かせて






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