ガラスをまるで肌のようにまとい
窓辺で庭を眺めていると
それは主のない灰色のスクリーン
傍らには ──
緑がその葉を保っている
のぞめば手でふれることも ──
きっとできる
庭、そこには
それをとりかこむあたりにも
雨がしきりなく落ちている
雨のなかでうずたかい炎があがっている
灰色の中心で
熱は潤いに刺されている
案ずるには異邦のスケールがもとめられる
こんなときも砂漠では
空がその青さを覚えている
パルサーが秒を溶かしている
わたしを知る人がそのモーメントに
きっとそれぞれ
ふれている
庭、そこでは
ガラスのさきの虚空を蹴って
わたしの熱が
巻きあがる
焔 ──
それを眼ざすもの
沼の底で眠る
関連をまつ記述のように
焔 ──
いま中心で揺れている
生じることで自らをうしない
放熱の果てに
泥の底へと
わたしは自らの熱 ──
そのこちらがわに在る
焔をひとつ泥へ投げこみ
沼、その漆黒の底より
灰をさらう
窓辺、それはデッサンの輪郭で黙りこむ
そして ──
「真空を駆けた光はその葉にとじこもり
灰の白ぎに緑をときあかす」
それをいま認めている
瞬きを境に ──
わたしというものがきっと
生じては死する
この庭に他者を招こうという憧憬のなか
わたしというものがそう
有限の体内で
生じては死する
庭の主 ──
彼のものは全てを
放棄したままで
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