レイ・オブ・ライト

影を疲れて
夜の鳥たちが眠りついた
微明あわだち
ざわめく者どもが森をえがくとき
樹幹をきいた眠りはやんで
森を浸した白のオーロラは
シルクのように重なった
皮膚のしたを流れる遠い地の大河よ
思い出というものが行き着くさきへ
主をなくした者どもを
どうか運んでやってほしい
光といえば
冷たくただ
世界にあり
ゆくゆく温まるものといえば
決して立ちどまることのない
こどものような
狂信だけ

外套は雨にぬれ肩におもい
引き摺るものもまたおもく
朝の鳥たちのうたごえは――
それらの素晴らしい翼のように
耳許で風が囁きをよこすようなこともある
大気は手をつなぎ結晶し
光と
思い出にしていない
記憶の底へと
滲みこむ

かざしてまわす傘のように
割れんばかりに唄いだす
故郷のそら
笑い声とぬくもりと
ことばを返したときにある――
ふとしたきもち
森の者はおしだまり唄う
静寂のコーラスで
記憶の唄を
照らしてだまる
うす紫であったものは金色に縁をなめられる
目の前で森がわれ
ほら――
街並みがすぐにあらわれる

敷石にふれ
引き摺るものが音をたてる
滴るヴィブラフォンより精密に
名乗ったようにこそばゆくそして
反響をつづける音つぎが
石の佇みを浮きあげる
音のなかには
通りがある
老いて死にたえ人々は灼かれ
暮らしを木々に
投げだしたのだ
木々は全てを唄ってくれる
通りにあふれるこどもたちが
あそび
わらいなき
欲しいものをならべたて
忘れるまでは
あきらめない
木々はわたしを覚えている
わたしはわたしをすこし借りて
光にすこし
あたたまる
引き摺るものが不意に鳴って
光がからだを
抜けてゆく

なにもかもが摺り抜けてゆく
 宙に浮いた街の鳥は
 羽ばたかないのに
 地に堕ちない

なにもかもが摺り抜けてゆく
 こどもたちはあそびやめ
 そらの声へと
 立ち上がる

遠く鳴る――
迎えの鐘がずれてゆく
こちらへくだる斜陽におされ
こどもの群れが
流れよせる

摺り抜けない
 ひとりのこどもと視線がからむ
 (わたしはその目に入れるのか)

見てはいない
 ひとりのこどもと見つめあう
 (わたしはようやく終われるのか)

その目は雄大の海原にひたり
粒子を一つずつ選びながら
繋ぎ
背負って
きみはわたしは
必ず
次のこの日へ
還るだろう

引き摺るものを石に鳴らし
訪れ、光あび、見つめあう

十の鎖はいつまでも
美しくきっと鳴るのだから



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