アフターエデン

スミレの話す風が集う丘で
かのものの担いを終えたきみが
みなもに映りながら壇をあとに
みなとの違いを
脱ぎすてる

網膜はみなのものを沈んでゆく
うめてくる慈しみに思いだした
エウロパのみなそこに忘れていた
いつまでも大切にしたいはずの
生まれただけの人形の棺

わたしたちはヒナギクの島で茶会に興じる
たくさん殺したり恥ずかしいことをしてきたのに高貴になり
少しだけ良くなったふうなことを分かち合える

ゼフィルスの群がりを払いプレートに手をかざす
これまでの音がいっせいに鳴って
時系列はぐちゃぐちゃに可逆して
点在する感応を置き去りに
が余すところなく

拡散 集中線
アトラスを尻目に速くなって
唄うたって
虹彩はすっかり剥がされてしまい
瞳孔の尖端は放たれて
光の後ろにとどきそうに
矢のように


 アフターエデン

(事象上の輪廻)

 果実の味がなくなるまでは

 スミレの話す風のなかで




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