超越数をわざわざまた数えなおしたりして
その命を潰えて終える
くらいに
ひとの心の
なにもかもがめぐった

豚や鶏や牛は食べるととても美味しくて
犬は可愛いので一緒に眠り
なにかを静かに
それとはなしに攻撃しては
ポイントを糧として暮らしていた

あからさまな殺しあいを知らされて
庭の蕾が花開くように水をやって
夜がまた後方から
ゆっくりとしみ込んでゆくのだけを待った

空は次々と描き変わり
喜んで悲しんで
泣く暇もなく笑わされ
笑う暇もなく泣かされ
放屁のようにノックスをまき散らしては
すべてをかのものの所為にし
すがり　あまえ
寝ては覚め
退屈したらまたうまれなおし
レモンを食べてびっくりとした

しばらくすると
けっしってよろこぶことのない
美しい赤子がまた
うまれてしまう

すべてがかのものにふくまれて
あたらしいへだたりを
あたえられる

なにか切なさのようなメロディーをさずかり
そのときもあなたはまた
あきらめないといった

あなたがあきらめないというかぎり
わたしたちすべては
それにしたがう

とりとめのない
たいせつななにかを
背景放射に霞んでしまう
書棚の奥に
しまいこんで

わたしとあなたは
それにしたがう

あることを犯すだろうし
調和をもたらすのならば陶酔する

膝小僧に小石がのめり込むほど派手に転んでも
あなたは泣きそうになった顔をまたどうにか笑顔にかえ
歩き出すのだから

世界はただ
歩きだした先にある
ソフトクリームのためだけに
くりかえす

音階だけをうまれもった
この愛らしい子は
とっくに気が狂ってしまいいまはなく
わたしたちすべてが
その残存を見ているだけにすぎないとしても

あなたとわたしは
いつまでもみつめあう
胸の律動を慎重に
わざわざまた数えなおしたりして

その一生を潰えて終わる
くらいに

ひとの心の

なにもかもがめぐった